桃太郎といえば、「桃から生まれた」というエピソードが印象的な童話ですね。小さい頃にお遊戯会などで演じた、という経験がある方もおられるのではないでしょうか。

ですが、実はこの印象的なエピソード、元々の原作とは違うって知ってますか?とりあえず、現在の桃太郎のお話を振り返ってみましょう。

あるところにおじいさんとおばあさんがいました。ある日おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきます。

おばあさんはその桃を拾って帰り、おじいさんと一緒に食べるために割ろうとした瞬間、桃は勝手に割れて、中から元気な男の子が出てきます。おじいさんとおばあさんは、その子に桃太郎と名付けて大事に育てます。

やがて、大きく強く成長した桃太郎は、近所に悪い鬼が出て悪さをしているという情報を聞いて、鬼を退治に行きます。おじいさんとおばあさんは、桃太郎にきびだんごを作って持たせてやりました。

道中で、犬と猿とキジに出会います。彼らはきびだんごをもらう代わりに、桃太郎の鬼退治に同行しました。間もなく鬼のいる鬼が島に着いた桃太郎たちは、鬼を一気に倒して、鬼の持っていた財宝を抱えておじいさんおばあさんの元へ帰り、幸せに暮らしました。

以上が現代の大まかなあらすじです。桃太郎は、さかのぼれば室町時代に作られた童話であると言われており、世の中に広まったのは江戸時代のことです。

その後、明治時代に確立したエピソードでは、桃太郎は桃から産まれたのではなく、流れてきた桃を食べて若返ったおじいさんとおばあさんが子づくりをして、その結果産まれたのが桃太郎である、というあらすじが主流になっていました。

その他、桃太郎のゆかりの地と言えば、岡山駅前に桃太郎と犬、猿、キジの像なども建っていることもあり、「岡山県」を思い浮かべる方が多いかと思います。

桃太郎と岡山県が結びつけられているのは、桃太郎がおじいさんおばあさんに持たせてもらったきびだんごに深い関係があります。

というのも、きびだんごの「黍(きび)」と、岡山の江戸時代の名産品が「吉備(きび)だんご」であったことに関係があると考えられているからです。

しかし実際のところ、桃太郎と縁のあるきびだんごと、岡山県の名産の吉備団子が同一であるかどうかは、はっきりしたことはわかっていません。

また、桃太郎のゆかりの地とされる地域も、岡山県以外に、愛知県の犬山市(桃太郎神社)や奈良県の磯城郡など、いくつかの地域が挙げられます。

その他、地域によっては桃太郎が正義感あふれる性格ではなくて、何にしてもものぐさな性格で、周りに「やれ」と言われて受動的に仕方なく鬼退治に行くバージョンもあるようです。

同じ物語でも、その昔、伝えた人次第で伝言ゲームのように、あらすじや主人公の性格も変化してしまったのでしょう。

あなたの住んでいる地域とは、離れた場所に故郷を持っている友人に、桃太郎含め別の昔話についても聞いてみれば、もしかしたら知っている話とはひと味違った昔話が聞けるかも知れませんね。