人魚姫、といえばディズニーなどでもアニメになっていたり、ミュージカルにもなっていたりするので、あらすじをよく知っている方も多いでしょう。

とくにディズニーのアニメでは、王子様と人魚姫はハッピーエンドで終わるために原作も、そうではないのか、と思っている方もいらっしゃるかと思います。

しかし、原作では人魚姫の恋は叶わず、海の泡になってしまったり、本によっては火あぶりにされて死んでしまう、という悲惨な結末のものもあるようです。今回はこの人魚姫について紹介していきましょう。

人魚姫は、「裸の王様」「マッチ売りの少女」「みにくいアヒルの子」「親指姫」などの作者であるアンデルセンによって書かれた童話で、一番最初に世の中に出回ったのは、1836年のことでした。

アンデルセンは、70年という生涯の中で、恋をすることはあってもその恋が叶うことは無かったと言われており、一生を独身のまま過ごしました。

人魚姫の原作では、彼女もまた、最後までその思いが王子様に伝わることはなく、短い人生を終えます。人魚姫の童話は、そんな「恋が叶うことが無かった」というアンデルセンの悲しみや苦しみが反映されている…とも言われている作品です。

人魚姫は、海の中から海面に顔を出した時に偶然見かけた豪華な船の上王子様に一目惚れをします。まもなくその船が転覆し、王子様が海に投げ出されてしまったことで、人魚姫は浜辺で王子様を介抱します。

ところが、浜辺の向こうから人間の女性がやってきたために身を潜めると、王子様は目を覚まし、その女性が介抱してくれたもの、と思い込みます。どうしても、愛する王子様に「介抱したのは自分だ」と伝えたい人魚姫は海の魔女のところまで行って、人間の脚を手に入れようとします。

原作によると、ヒレから変えてもらった人間の脚は、歩くたびに酷い激痛が走ったようです。また、多くの童話では、「脚と引き換えに人魚姫は美しい声を奪われた」とだけ書いてありますが、訳された原文によっては、「舌を切られたために声を出せなくなった」という記載があります。

その後、王子様と人魚姫は話ができないながらも交流を深めますが、残念ながら王子様は浜辺で出会った人間の女性との結婚を決めてしまいます。

海の魔女に「王子と結婚できなければ水の泡になって消えてしまう、人魚にも二度と戻れない」と言われていた人魚姫、そんな彼女のことを思ってお姉さんたちが、海の魔女から魔法の短剣を借りてきます。

日が昇るまでに、その剣で王子を刺して王子の血を脚に垂らせば、再び人魚に戻れて海の中で暮らせるということでしたが、人魚姫は王子様を刺すことができずに、日の出とともに海の泡となって消滅してしまった、というのが原作のあらすじです。

または、王子様の部屋に短剣を持って忍び込んだ際、家来たちに見つかり、王子を殺そうとしていたという罪で火あぶりになった、という結末のものもあるようです。

アンデルセンも失恋した時「海の泡になって消えることができたら、とても楽なのに」という思いでこのような結末にしたのかも知れません。