ピノキオ、といえばディズニーでもアニメ映画になっていたり、実写CG映画にもなっていたりするので、あらすじもよく知っているという方も多いでしょう。

「ゼペットじいさん」によって、ただの棒切れから、人形の姿にしてもらった木製の人形「ピノキオ」が、色々な世の中の悪者にだまされそうになったり、大きなサメに飲み込まれたりしながらも、最後には妖精の力をかりて立派な人間の少年になるという物語ですね。

本来は「ピノキオ」ではなく「ピノッキオの冒険」というタイトルとなっています。今回はこちらの童話について紹介していきましょう。

さて、ピノキオは1883年に初めてイタリアで本が発行されました。作者はカルロ•コッローディという人物で、その他の作品には「ピピの冒険 森の小猿」などが挙げられます。

現代の物語ではピノキオは、最終的にはゼペットじいさんと協力して、大きなサメの腹の中から脱出するという、「勇気ある優しい少年」というイメージを持っている方もおられると思います。

しかし原作でのピノキオは、当初は人の忠告など話も聞かない、すぐにうまいはなしに何度も懲りずにだまされるというダメダメ人間(ダメダメ人形?)ぶりでした。そのダメダメな例をいくつか紹介していきましょう。

街中を逃げ回って騒ぎになったことで、ゼペットじいさんが牢屋に入れられてしまったのを良いことに「うるさい人間がいなくなった、遊んで暮らせる」と浮かれているピノキオに、忠告をしてくれたコオロギに対し、「うるさい」と木槌を投げつけて殺してしまいます。

学校へ行くのに必要な練習帳を、お金が無いので、寒い中上着を売ってまで買ってくれたゼペットじいさん。そうしてやっと手に入れた練習帳を、ピノキオは通学途中で見つけた人形芝居小屋に入りたいがために、売って入場料に変えてしまいます。

街で出会った、脚を引きずる怪しいキツネと、目が見えない猫に「君の持っている5枚の金貨を土の中に埋めて、水と塩をやるとたくさんの金貨が成る、金貨の木が生える場所があるから行こう、金貨の木を生やそう」と言われその話を簡単に信じて、実行しようとします。

まじめな男の子になると決意してすぐ、遊んで暮らせる「おもちゃの国」という場所に誘われて付いて行き、結局その場所で半年近くもの間遊んで暮らします。その結果、ロバの耳がはえて最後には体全体もロバに変化してしまい、サーカス小屋へ売り飛ばされます。

その他にも、本編には色々なエピソードがあります。世の中には確かにうまい話や楽しいことがたくさんあると思います。しかし、ここまでたくさんの誘惑が出てくる童話と、そのすべてにだまされる主人公も珍しいのではないでしょうか。

私なら、物語を読んでいる間にそんなだらしない主人公のピノキオに愛想を尽かしてしまうかも知れません。あなたならどうでしょうか。物語の終わりまで、ピノキオを信じて読み進めることができるでしょうか。

しかし、これを子供に読み聞かせするとなると、「こんなことをするとこうなるぞ」という良い教訓を教える教材にもなるのかも知れませんね。